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01

Jun. 2022

6月号 「水虫はうつる?」

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6月になって、ずいぶん気温が高くなってきましたね。

さて、毎年、夏になると、「足の指の間がかゆい」、「足の指の間や足の裏に水疱ができる、ジュクジュクする」といった症状が現れ、秋になると自然に治るという話をよく聞きます。そうです。それが水虫(=足白癬)の特徴のひとつです。

 

水虫は「白癬菌」というカビがヒトの足に感染して起こる皮膚の病気です。白癬菌は角質細胞のケラチンが大好物で、ケラチナーゼというたんぱく質を分解する酵素を出して、角層内へ侵入していきます。

水虫

患者さんは案外多く、5人に1人とも、10人に1人とも言われており、特に年齢が高くなるほど多くなるようです。

 

では、水虫はいったいどのようにしてうつるのでしょう。一般的には以下のようにしてうつっていきます。

①水虫の患者さんの足の皮膚から白癬菌が脱落して、スリッパや足拭きマットや床などに付着する。

②同じものを使うことで、その脱落した白癬菌が健康な人の足に付着する。

③付着した白癬菌が健康な人の足の角質内に侵入する。

 

実際、水虫の患者さんが10分間ビニール性のスリッパを履く実験を行ったところ、64.5% (118例/183例)のスリッパに白癬菌が付着していたそうです。

また、5軒の銭湯で利用者の足の裏を調べたところ、平均18.5個の白癬菌が付着していたという報告もあります。

つまり、銭湯、温泉、プール、患者さんがいる家庭など、素足になるところで白癬菌がばらまかれている頻度は高く、またそれらが健康な人の足の裏に付く可能性も高いということです。

 

ところが、白癬菌が付着した人がみんな感染するかというと、決してそうではありません。ほとんど感染しないのです。なぜでしょう。

白癬菌が角質内に侵入するのには、湿度100%で1日かかると報告されています。それまではただ付着しているだけなので、タオルで拭いたり、洗ったり、擦れたりするだけで、簡単に落ちてしまうのです。また、しっかり乾かすだけでも落ちていきます。

 

それでは、逆にどういう時に感染してしまうかというと、靴下と靴を履いて蒸れた状態で長時間白癬菌を付着したままにしておく時です。

すなわち、予防法は以下のとおりになります。

①できるだけ靴を脱ぎ、素足になって足の湿度を低くすること。

*湿度85%では7日たっても侵入しないとされています。

②毎日、お風呂に入って、足裏や足の指の間を泡立てた石鹸等でやさしく洗うこと。

*足の皮膚に傷があると、0.5日で感染したという報告があります。軽石でのゴシゴシ洗いなどは逆効果なのでやめましょう。

水虫対策



執筆者プロフィール

北海道大学獣医学部ご卒業後、旧大阪府立公衆衛生研究所において、女性で初めてとなる副所長兼感染症部長を務められた。現在は、日本防菌防黴学会理事、日本食品微生物学会理事など多方面でご活躍。

 


【専門家コラム】

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