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01

Dec. 2021

笑ろてるパパがええやん Vol.4

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「子どもに寄り添う」

 

いつもありがとうございます。
今月のタイトルは「子どもに寄り添う」です。

 

僕の長女は小学校3年生の一年間、不登校でした。
新年度が始まった間もない5月のゴールデンウイーク明けでした。
娘が学校に行こうとするのだけど、玄関でモジモジとしていてなかなか動かない。
「どうしたの?」と訊いても何も言わず。
「大丈夫?」「学校は?」と訊くのだけど、どうしても行けない。動けない。
一度、玄関を出るけど戻ってきたり、玄関の外でなかなか動けなくなったりと。

 

 

ランドセル

 

当初は、「学校に行った方がいい」という親の正義感や、「行くのが当たり前」という感覚で、そう伝えていたのですが、行けないものは行けない。
僕も腹をくくり、それなら彼女が行けるまでの時間を一緒に過ごそうと、娘と共に登校時間を過ごすようにしました。
「学校、行かなくてもいいよ」とは、どうしても言いだす勇気はなく、代わりに「無理なく、自分のリズムで行ける時に行こう」と話をして、彼女の横に寄り添うようにしました。
僕たち親の思いは伝えるけれど、彼女の思いに寄り添っていこう。
そんな折り合いをつけました。
また、僕にとってこの時、改めて自身の働き方を考える機会となりました。
他の社員さんの助けと、弊社の業務が電話でできるものが多かったので、上記のような過ごし方が可能となりました。
また、夕飯づくりはかみさんに任せ、僕は子どもと過ごして話を聴き、かみさんと共有し、チームファミリーで娘の歩み、彼女のペースに合わせて過ごすようにしました。

 

「学校、行けるところまで行ってみよう」と、二人で登校するようにしました。
我が家から学校までは600m程です。歩くと8分程度の距離ですが、ゆっくり歩いたり、同じ道を何周もしたり、道草をしていくので2時間くらいかかります。
途中の小さな川でザリガニを捕まえたり、ガードレールの上を登って歩いたり、学校近くまで来ても中に入れないので、隣にある原っぱで草をむしり草笛を拭いてみたり、ダンゴムシを丸めたりして一緒に過ごしていました。
雨の日は近くの教会の自転車置き場の軒下で過ごし、冬には日当たりの良い花壇に腰かけて過ごしていました。親子で花の成長を楽しむことも出来ました。
当時は、この先どうなるのだろうかとの不安もありましたが、この子とのこの時間も今だけ。大切で尊いものだと受け止め、丁寧に過ごそうと心に決めました。

 

そのうち、徐々にリズムが出来てきて、お昼頃になるとおなかが減るのでしょう。
保健室に入って、そこで給食をいただき、午後からの授業に参加する。
 
それが彼女の登校日課となっていき、一日のリズムとなりました。

 

一年近くをそのように過ごしてきたのですが、4年生になりクラス替えがあり、自然と通常の時間通りに学校に行けるようになりました。
このまま行けるのかなあという不安はありましたが、何事もなかったかのように行くようになりました。
今は、留学先で高校生活を積極的に楽しんでいます。
無理に学校に行く必要もないと思いますが、我が家での折り合いはこのような形でした。

 

本人はあの時の体験があったから、学校に行けない子どもやしんどい方の気持ちもわかると言っています。
僕も当時は、漠然としたこれからの不安や仕事が出来ない恐怖などありましたが、あの時間が僕と娘のつながりをより深くしてくれたと受け止めています。また、僕たち親子、家族にとってかけがえのない時間だったと思っています。
あの時間があったからこそ。

 

子どもと過ごす時間。
改めてその時間の尊さを思います。
子どものリズム、ペースに合わせることは、時として大人にとっては大変な場合もあるかと思いますが、子どもに合わせてみる。寄り添い、子どもの思いを聴いてみる。前から引っ張るでもなく、後ろから押すでもなく。 横にいてそっと寄り添う。
その時、改めてまた違った世界が観えてくるのかもしれません。

 

手をつなぐ

 

「100年人生」 私たちの健康寿命が長くなっていく社会の中で、同時に元気に働ける時間も増えてきています。
しかしながら、子どもと一緒に過ごせる時間はいかがでしょうか。
大人同士となり親子で楽しめることはもちろん素敵ですが、子どもの時の親子の尊き時間があるからこそだと思います。
子育ては期間限定ですね。

 

親の価値観を子どもに伝えていくことは、もちろんとても重要です。
と同時に、子どもの思いに寄り添っていく。
この子はどんなことを思い、どんな風に考え、その言葉にはどんな気持ちが含まれているのだろうか。
そんな視点をもつことが、より一層人生を豊かにしてくれると考えています。

 

話をちゃんと聴いてくれる人が傍にいる。
 
当たり前のことかもしれませんが、そんな当たり前の社会を担う父親として、笑ろてるパパとして在りたいですね。

 



ライタープロフィール

株式会社 大阪メック 取締役
(一社)倫理研究所 泉州倫理法人会 会長
堺市男女平等参画推進審議会委員他 元地元小学校PTA会長、おやじの会会長、
仕事は「父親業」
パラレルキャリアとして、
NPO法人の運営、ものづくり企業、産業部品商社の経営、
地域創生活動に参画。
子どもが生まれた当初、「仕事をもっと頑張らねば」とがむしゃらに働くが、「子どもとの時間は期間限定」とかみさんより教えてもらい、働き方、ワークライフバランスを変えていく。
子育てを通して、子どもは地域へのパスポートだと知り、PTAや地域活動に参画。
子どもの成長に合わせたライフデザインを再構築。
現在は、関西各地にて父親の地域ネットワークづくりを推進中。

 


【専門家コラム】

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