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01

Oct. 2021

スペシャリストに学ぶ

サクラについて

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日本でサクラと言うとき、それはバラ科サクラ属(Cerasus)の落葉広葉樹の総称であり、野生種はオオシマザクラやヤマザクラなど約10 種と多くはありません。これらの野生種の自然交雑や突然変異、あるいは人の手による交配や選抜で500〜600 種類とも言われる多様な品種が作り出されてきました。

 

基本的な花の色は「桜色」と称される淡いピンク色ですが、品種による濃淡の他、オオシマザクラは白色、淡いクリーム色の‘鬱金’(ウコン)、黄緑色の‘御衣黄‘(ギョイコウ)など多様です。

 

花の形も多様です。サクラの花弁の枚数は5 枚が基本で、これを一重咲きと言います。6枚以上を八重咲きと言い、百枚以上の花弁を持つキク咲きには‘兼六園菊桜’や‘梅護寺数珠掛桜’などがあります。八重咲きの花弁は一般におしべが花弁化したものと考えられています。

 

一方‘普賢象’や‘松月’などは小さな葉が折りたたまれたような緑色の雌しべ、すなわち葉化雌しべを持ちます。詩人として知られるゲーテは自然科学者でもあり、その著作「植物変態論」の中で「花は葉が変形してできたもの」と述べています。葉化雌しべは雌しべが元の葉に姿を戻したと言えます。

サクラの見頃と言えば春を連想されるでしょう。春の彼岸の頃に咲く早咲きのエドヒガン(樹齢1000 年を超える岐阜県根尾谷の淡墨桜が有名)をはじめとして、一重のサクラは比較的早咲きです。一方、春の後半を彩るのが八重咲きの品種です。

 

しかし中には秋から冬(時に早春)にかけて咲く‘十月桜’や‘子福桜’、‘冬桜’(群馬県三波川の冬桜が有名)などもあり、開花期も様々です。

 

さて花から離れ、樹形について見てみると、野生種の中にはヤマザクラやカスミザクラの様に樹高20m を越える高木になるものもあれば、マメザクラのようにせいぜい4〜5mの低木もあります。野生種のエドヒガンは枝が上向きに伸びますが、その枝垂れ型である‘枝垂桜’(糸桜ともいう)は枝が下に垂れ、その姿形の美しさから古くから鑑賞用に好まれてきました。

現在日本のサクラの7割以上が‘染井吉野’といわれています。その起源は諸説ありますが、DNA 分析の結果などから、エドヒガンとオオシマザクラにヤマザクラなどが関与して生じた雑種と考えるのが妥当と思われます。雑種の中から優れた個体が選ばれ、接ぎ木で繁殖されたために、‘染井吉野’の個体はどれも遺伝的に同一のクローンです。遺伝的多様性に欠けることから、病気や害虫、気候の変動などの影響が心配されます。

 

最後はサクラにまつわる美味しいお話し。

 

葉や花に含まれる成分は塩蔵すると芳香をはなつクマリンに変わります。オオシマザクラの葉は桜餅に、関山などの八重桜の花は塩漬けにして桜湯に使われています。またセイヨウミザクラの果実がサクランボとして有名です。

 

 


ご執筆:大阪市立大学附属植物園さま

約70年前に大阪市立大学理工学部附属の研究施設として発足し(現在は大学附属)、以来、植物学の基礎研究の対象として多くの植物の収集と保存を行う。なかでも日本産樹木の収集に力を注ぎ、野外で生育可能な約450種を植栽。研究の場であるとともに、自然学習や生涯学習の拠点として広く一般にも公開されている。

 

●大阪市立大学附属植物園公式HP
https://www.sci.osaka-cu.ac.jp/biol/botan/index.html

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